バイデン大統領による税案の下での遺産計画

すでに遺産計画をお持ちの方も、これからお考えの方も、バイデン大統領の税案の下で の提案を検討することが重要です。現行法では、遺産・贈与税の非課税額は1,170万ド ルで、非課税額を超えた分は40%の税率で課税されます。また、現在、相続した資産は 、所有者の死亡時に「ステップアップ・イン・ベーシス(自動的増額取得価額)」と呼 ばれる恩恵を受けることができます。これは、資産を相続した人は、その資産を購入し た日から死亡した日までの間に価値が上昇しても、譲渡所得課税を支払う必要はない、 ということを意味します。資産の基準は、所有者が死亡した日の公正な市場価格に「ス テップアップ」します。その結果、現在では多くの遺産が非課税額に該当し、ステップ アップ・イン・ベーシスなどの恩恵を受けています。

しかし、バイデン大統領が提案する税案の下では、これが変更される可能性があるのです。

バイデン大統領の提案の一つは、死亡時のステップアップ・イン・ベーシスを廃止する ことです。これは、相続した資産(適格株式、事業権、自宅も含む不動産などの高額資 産)に対して、譲渡所得課税を支払わなければならないことを意味します。もし、あな たが住宅を購入して価値が上がり、その住宅を次の世代に引き継ぐ場合、あなたの子孫 は大切な財産を手に入れるだけでなく、その価値が上がった分の譲渡所得課税を支払う という負担を負うことになるのです。その子孫がその家を売ることになった場合、売却 価格のうち、あなたが購入した価格を超えた部分に譲渡所得課税を支払うことになりま す。何年も前に購入した住宅であれば、これは多額の金額となり、大きな税負担となる 可能性があります。

提案された税案では、遺産・贈与税の非課税枠の引き下げや、遺産・贈与税の税率引き 上げも検討されています。現在、多くの遺産が1,170万ドルの控除額に該当し、遺産税 が免除されていますが、バイデン大統領の税案では、この控除額を350万ドルに引き下 げることが提案されており、これにより多くの遺産が対象となります。さらに、このプ ランでは、税率を45%に引き上げることが提案されています。つまり、350万ドルを超 える財産には、45%の相続税が課せられることになるのです。遺産には、現金、有価証 券、不動産など、すべての財産が含まれますので、現在の非課税額との関係を定期的に 把握するだけでなく、将来の状況を予測し、計画を立てることが重要になります。

エステート・プランナー(遺産計画担当者)は、貴方が目標を達成し、遺産を守るため に、様々なツールを利用することができます。その中には、生活水準を維持しながら、 愛する人々や慈善団体などに遺産を確実に渡すための、贈与戦略や特定の種類の信託を 利用する方法も含まれます。

重要なのは、議会が行動を起こし、新しい法案を通過させない限り、これらの多くは推 測の域を出ないということです。しかし、その意味するところは、将来の世代のために 資産を保護・保全するために、多くの遺産が慎重な計画を必要とするということなのです。

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