ICE、一般的なI-9フォームの誤りを「実質的違反」として再分類し、雇用主の罰金リスクを拡大

1986年制定の移民改革・管理法(Immigration Reform and Control Act of 1986)は、米国内のすべての雇用主に対し、1986年11月6日以降に雇用したすべての従業員について、フォームI-9を完成させることにより、本人確認および就労資格を確認することを義務付けています。米国移民関税執行局(「ICE」)は、フォームI-9の検査に関する指針を大幅に変更し、監査時における雇用主のリスクを高めています。ICEが更新した「移民国籍法§274Aに基づくフォームI-9検査」(以下「ファクトシート」)では、これまで雇用主が修正可能な技術的な不備として扱ってきた多くの日常的なI-9の誤りが、即時に金銭的罰則の対象となる「実質的違反」として再分類されています。改訂されたファクトシートは、「従来、技術的または手続上の不備として扱われていた多数の誤りを、即時に金銭的罰則の対象となる実質的違反として再分類しているように見える」とされており、これは数十年にわたる当局の解釈および執行慣行からの転換を示しています。このような実質的違反は、検査通知(「NOI」)が発行された後には修正することができません。現在のインフレ調整後の罰金額は、2025年1月2日に官報で公表されたとおり、フォームI-9 1件につき288ドルから2,861ドルの範囲となっています。罰金はフォームごとに課されるため、大規模雇用主の場合、その負担は重大なものとなる可能性があります。

約30年間、雇用主は、移民国籍法(INA)§274A(b)(6)に基づく「善意」の法的枠組みに依拠してきました。この枠組みは、技術的または手続上の誤りについて、少なくとも10営業日以内に修正された場合には罰則から保護するものです。この枠組みは、1997年のVirtueメモによって形成され、その後、行政審判官室(「OCAHO」)および連邦裁判所の判決でも繰り返し認められてきました。これにより、単なる書類上の修正可能なミスと、本人確認手続の完全性を損なう実質的違反とが区別されていました。

今回改訂されたファクトシートは、この区別を狭めています。
従来は技術的な誤りとして扱われていた、例えば以下のような不備についても、現在では実質的違反として分類されています。
• 生年月日の記載漏れ
• 従業員署名日の記載漏れ
• 雇用開始日の記載漏れ
• セクション2における不完全な書類情報の記載
これは、雇用主が基礎となる本人確認書類の読み取り可能なコピーを保持している場合であっても同様です。ファクトシートは、これまで認められていた「書類を保持している場合の例外」をもはや認めず、これらの記載漏れを「明らかな例外なく」実質的違反として扱っています。これは、従来の指針から大きく変更された点です。

変更は個々の記載項目だけにとどまりません。
ICEは現在、以下のような手続上の不備についても実質的違反として扱っています。
• プエルトリコ以外の地域でスペイン語版フォームI-9を使用すること
• 認可された遠隔書類確認手続を利用する際に、代替手続のチェック欄を選択しないこと
• 有効なE-Verifyへの参加なしに代替遠隔確認手続を使用すること
また、電子版I-9システムについても監視が強化されています。ファクトシートでは、電子的作成、保存、記録管理およびセキュリティに関する規制基準を満たさない場合、これらを実質的違反として分類しています。これらの変更により、雇用主は、従来であれば監査手続中に修正できたような管理上の単純な見落としについても、罰則を受ける可能性があります。

この突然の方針変更は、重要な法的および手続上の問題を提起しています。
雇用主は、裁判所によって認められ、ICE自身の現場マニュアルにも反映されてきた「技術的違反」と「実質的違反」の区別に基づき、コンプライアンス手続、内部監査、修正対応の方針を構築してきました。しかし今回の適用において、ICEは、VirtueメモおよびOCAHOの判例で示されてきた従来の技術的違反・実質的違反の枠組みから大きく離れ、その適用範囲を大幅に狭めています。この実務上の警告では、「オンライン上のファクトシートによって罰則制度全体を変更すること」は、司法審査の対象となる可能性があると指摘されています。特に、雇用主がフォームI-9の作成または修正時に、従来の分類に依拠していた場合には、その問題が顕著になります。

用主にとって、この変更の実務的影響は重大です。現在では、通常の内部監査によって、金銭的罰則につながる可能性のある誤りが発見される可能性があります。また、保存義務期間内にある過去のフォームI-9についても、改めて確認が必要となる場合があります。遠隔確認手続または電子版I-9システムを利用している雇用主は、ICEが現在実質的違反として扱う基準に適合しているか、手続を再評価する必要があります。もっとも、事前の自主的な修正対応は依然として重要です。特に、自己監査および誤りの修正は、将来的なリスクを軽減し、コンプライアンス体制を強化するのに役立ちます。

検査前に誤りを発見・修正すること、修正判断の経緯を記録すること、そして強固なコンプライアンス体制を維持することは、依然としてリスク管理上不可欠な要素です。特に、I-9の執行について引き続き適用される5年間の時効期間を考慮すると、その重要性はさらに高まります。

雇用主は、ICEがこれまで軽微な誤りとして扱われていたI-9上の不備を、より重大な違反として扱うようになったことにより、今後、より大きな金銭的リスクに直面することを想定すべきと言えます。