海外からの検認手続きを円滑に-日本人被相続人の遺産検認を行う際に、クライアントが知っておくべきこと

COVID-19による旅行制限も終わり、ハワイでは再び、日本をはじめ海外からたくさんの人々を迎えつつあります。当事務所では、ハワイでの不動産所有を含む様々な法律問題に関し、相当な数の日本からのクライアントに法的サービスを提供しています。多くの日本国籍保持者はハワイに投資用の不動産を所有、および/もしくは銀行口座を保持しています。よくあることですが、もしも彼らが、これらの財産の処分方法を指示する遺産計画なしに亡くなった場合、彼らの近しい親族が、日本とハワイを自由に行き来することも難しいなかで、ハワイでプロベイト(検認)手続きを進めたり、被相続人(故人)の遺産の管理をしなければならない可能性があるのです。当事務所では、通常、2国間の行き来が困難な場合でも、検認および遺産管理において、日本のクライアントを支援することができます。

ハワイでは、被相続人の遺産は、簡易もしくは正式手続きによって管理されます。正式手続きに比べて、簡易手続きは通常、裁判所の審理を必要とせず、裁判所の監督をあまり必要とせず、数ヵ月で完了することが可能なため、望ましい手続きと言えます。簡易検認手続きの資格を得るための要件は次の通りです:人格代表者になることを勧められた人(提案人格代表者)は、ハワイの統一遺言検認規則に基づき、優先的にその職務に就くことができる人でなければなりません。;同程度またはそれ以上の優先順位で人格代表者となれるすべての人物が、提案人格代表者の選任に同意することが必要です。;加えて、被相続人に遺言があった場合(有遺言)、検認手続きを開始するために遺言の原本が必要となります。被相続人が遺言書無しで亡くなった場合(無遺言)には、検認手続きは略式で開始される場合もあります。

検認手続きは、被相続人が米国市民権保持者であろうと外国籍であろうと基本的には同じものですが、ハワイに財産を所有する外国籍の被相続人の遺産については、特に注意すべき点があります。日本人被相続人の遺産について、ハワイで検認手続きを開始するには、特定の書類と情報が必要です。ハワイ遺言検認規則は、この目的のために提出される外国の公的記録は、2段階の手続きによって認証することを義務付けています。最も重要なことは、被相続人の死亡記録や戸籍謄本と呼ばれるものを、外務省が発行したアポスティーユとともに提出することであり、アポスティーユとは戸籍謄本に押印された職員(通常は戸籍謄本を発行した市町村長)の署名が真正であることの最終的な証明となるものなのです。これと同じ要件が、家族関係の変更を反映した除籍謄本にも適用さ れます。これと同じ要件が、家族関係の変更を反映した除籍謄本にも適用さ れます。 なお、外務省のみが謄本の真正性を証明することができ、また外務省は発行から3ヶ月以内の原本しか認証しません。

さらに、日本のクライアントに代わって提出する簡易の遺言検認申請書や正式な遺言検認請願書などの裁判所提出書類や特定の添付書類は、日本の公証人の面前で署名し、公証人役場または外務省によるアポスティーユ認証が必要になります。また、遺産から不動産を譲渡し、譲渡局に記録される証書や、署名して土地裁判所に提出する特定の書類については、その記録または提出後、これらの書類が公記録となるため、公証とともに公証人役場または外務省のアポスティーユによる認証、または米国領事館による認証を受けていただくことをお願いしています。

遺産分割協議書(もしあれば)、または遺言書があればその原本を検認に提出する必要があります。遺産分割協議書には、各相続人の署名または捺印が必要です。検認申請書または請願書と一緒に提出されるこれらの書類、謄本、およびその他の日本語の補助書類には、それぞれ翻訳者による翻訳宣誓供述書を添付する必要があります。 (当事務所専属の翻訳者が必要な翻訳と宣誓供述祖を作成します。)  また、遺産の提案人格代表者の氏名、住所、家族全員の氏名と、既知の債権者を含む被相続人の遺産に利害関係のある人物の氏名、年齢、住所をお知らせいただくようお願いしています。加えて、ハワイに所在する被相続人の不動産や動産について、目録を作成するために必要な情報をご提供いただきます。 もしも日本のご遺族がハワイにある被相続人の財産の所在や存在についての情報をお持ちでない場合は、その情報をリサーチし調査するお手伝いをいたします。

ハワイの検認手続きや要件は、海外にお住まいの方にとっては、特有の難しさがあるように思われますが、当事務所では、日本にご家族がいらっしゃる方を含め、外国人被相続人の検認や財産管理のあらゆる面でお手伝いさせていただいておりますので、どうぞお気軽にお尋ねください。