介助動物は「ペット」ではない

介助動物に関するHUDの新指針

アシスタンス・アニマル(「介助動物」)には、サービス・アニマル(障がい者を支援することを訓練された動物)とエモーショナル・サポート・アニマル(人間の心理的な面をサポートする動物)が含まれます。法の執行を監督し住宅差別の申し立てを調査する連邦機関、アメリカ合衆国住宅都市開発省(「HUD」)は、介助動物のことを「ペットではない」と定義づけています。通常ペットに適用されるハウスルールやコミュニティーの規制は、介助動物には適用できません。

近年、多くのペットの飼い主が、料金の支払いを回避したり、通常では許可されない場所にペットを持ち込む許可を得るために、所謂オンライン・セラピストから偽の証明書や手紙を入手し、制度を悪用しています。メディアでは、エモーショナル·サポート·アニマルであると主張して孔雀を飛行機に載せようとしたり、セラピー用と言い張りワニを連れて高齢者センターに入ろうとしたり、心を慰めるための豚と一緒にレストランへの入場を試みたりと、珍しい動物の飼い主たちが無謀な試みをしているという話が多く伝えられています。

連邦政府と州の公正住宅取引法(「FHA」)の下、コンドミニアムとコミュニティ協会は、介助動物との入居を希望する障害者のために、適正な部屋を提供する義務があります。このようなリクエストを検討する際に、協会理事会は以下の2つの質問をすることができます。(1) 介助動物と一緒に暮らそうとしている人は障害を持っているのか(明らかでない場合)、 (2) 介助動物との入居をリクエストする人は、その介助動物が障害に関連し必要性を持つものであるかどうか。

言い換えれば、その動物は、障害のある人のためになるような役目を担ったり、手助けをしたり、あるいは、その人の既存の障害の症状や影響を緩和するような心理的なサポートを提供したりするものなのでしょうか? 上記の両方の質問の答えが「はい」の場合、協会はその人物の要求を承認しなければならず、承認しなかった場合、法律違反として厳しい法的措置を受けることになります。

これを説明する例として、2019年3月、原告Sanzaro夫妻のクラブハウスへの介助犬の持ち込みを3回にわたって拒否し、適切な部屋への入居リクエストを拒否した後に嫌がらせを行ったとして、連邦裁判所はネバダ州ラスベガスのArdienteという住宅所有者協会に対し、賠償金35万ドル、懲罰的損害賠償金28万5000ドルの判決を下し、さらにSanzaro夫妻の弁護士費用と罰金の査定、手紙の送付、未払いの罰金の先取特権の設定などを含むがこれらに限定されない諸経費の支払いを命じた、という一件があります。

この問題に関して、協会の理事や不動産管理者が直面している課題は、介助動物との入居のリクエストに対する適切な裏付け書類とは何かが曖昧なことです。FHAの苦情の30%以上は、介助動物が関与しているものなのです。2020年1月28日、HUDは、動物との入居リクエストを評価する際の、そして協会が障害および障害に関連した介助動物の必要性についての情報または書類を要求する場合の、FHA準拠のための段階を踏んだ最善策を明確にする新しい指針を発表しました。

ここにその指針、HUD通知FHEO-2020-01のダイジェスト版をご紹介しましょう。

サービス·アニマル

  • ある犬が障害を持つ個人のために仕事や作業をするために訓練されていることが明らかである場合、その犬はサービス·アニマルであるため、それ以上の問い合わせは不要です。
  • 明らかでない場合、協会は以下の2つの質問だけをすることが可能です。(1) その動物は障害のために必要とされているのか? (2) その動物はどのような仕事や作業をするために訓練されてきたのか? なお、本人の障害の性質や程度について質問したり、文書化を求めたりしてはいけません。
  • 上記の(1)への回答が「はい」dで、(2)の回答でその動物の仕事または作業が特定された場合、その動物はサービス·アニマルとしての資格を有しているため、要求された部屋を許可します。
  • 上記の質問に対する答えが「いいえ」または「なし」の場合、その動物はサービス·アニマルには該当しませんが、サポート·アニマルに該当する可能性があるので、協会は以下のガイダンスに従ってさらに評価する必要があります。

サービス·アニマル以外の介助動物

  • 入居のリクエストは、口頭でも書面で行われてもよく、個人に代わって他の人が行うこともできます。またそれは、介助動物を取得する前でも、取得後でも構いません。
  • 目に見える障害である場合、または協会がその人物に障害があると信じるに足る情報を持っている場合、協会は、介助動物との入居希望者に対し、その人物の障害に関して、動物が仕事や作業をしていること、援助を提供していること、および/または治療のための心理的なサポートを提供していることを合理的に裏付ける情報を提供するよう要求することができます。協会には個人の診断を知る権利はありません。
  • 障害が目に見えるものではない場合、または協会がその人が障害を持っていると信じるに足る情報を持っていない場合、協会は、介助動物との入居をリクエストする人自身が障害を持っていることを合理的に裏付ける情報を提供しない限り、入居を許可する必要はありませんが、協会は、リクエストをする人に情報提供の合理的な機会が与えられるまで、入居を拒否することはできません。
  • HUD は、特定の質問に答えたり、短いインタビューをして、料金を支払うする人に介助動物の証明書や登録、ライセンス文書を販売している特定のウェブサイトからの文書だけでは、個人が目に見えない障害や障害に関連した介助動物の必要性があることを確実に立証するのに十分ではないとの立場をとっています。
  • HUDはまた、多くの合法的な認可を受けた医療専門家が、インターネットを含む遠隔のサービスを提供していることを認めています。信頼できる文書の一つの形態としては、その人物の医療専門家からの書面で、提供者がその人物に対し個人的な知識を持っている場合に、その人物の障害および/または動物の必要性を確認するというものです。
  • 協会は、介助動物との入居をリクエストをする人物が、動物が仕事や作業を行い、支援を提供し、および/または個人の障害に関して治療的で心理的なサポートを提供していることを合理的に裏付ける情報を提供しない限り、部屋を許可する必要はありませんが、要求者に情報を提供する合理的な機会が与えられるまでは、入居を拒否することはできません。障害と介助動物の必要性との間に、関係性や関連性があることが示されなければなりません。多くの場合、そのような書類がないことが、入居のリクエストを拒否する合理的な理由になると言えます。
  • 協会は、提供された、または実際に協会に知られている情報がHUDの指針の要件を満たしている場合には、それ以上の特定の種類の証拠を主張することはできません。また、協会は、医療従事者が特定の様式を用いて公正証書を提供すること、偽証罪の罰則を理解したうえで陳述をすること、または個人の身体的または精神的障害に関する診断やその他の詳細な情報を提供することを要求することはできません。
  • 爬虫類(カメ以外)、野宿動物、サル、カンガルー、その他の非飼育動物など、家庭では一般的に飼育されていないユニークな種類の動物の飼育を個人が要求している場合、HUDは、要求者にとって、特定の動物または特定の種類の動物が、障害に関連する治療上必要であるということを証明する実質的な責任があることを強調しています。
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    この記事に関するお問い合わせは、クリスティーン久保田cak@hawaiilawyer.comまで。